2000年に入ってから、風俗嬢の数が急増しているといわれています。
一般的な感覚からすれば、裸になってお金を稼ぐというのはあまり受け入られないことで、できれば裸にならずに普通の仕事で生活していきたいと思うことでしょう。
では、なぜあえて風俗嬢になる女性が増えているのでしょうか。
その事実を知るためには、社会的な背景を知る必要があります。
性風俗ビジネスってどんなビジネス?
日本の性風俗が始まったのはいつ頃からか、皆さんはご存知でしょうか。
これは結構古い話で、16世紀後半ごろだったといわれています。
皆さんもご存じの豊臣秀吉が、当時の風俗店である「遊郭」を京都の一か所に集め、島原遊郭という風俗街を作ったのが始まりとされています。
性風俗というビジネスは、簡単に言えば「風俗嬢が不特定多数の男性に性的サービスを提供することによって、お金を受け取る」というビジネスです。
つまり、男性がお客さんとして風俗店にお金を払い、風俗嬢から性的サービスを受け、風俗嬢はそのお店で決められた歩合によって給料を受け取る仕組みになっています。
最近の日本では、「草食系男子」という言葉が象徴するように、男性の性欲が弱くなっているといわれています。
しかし、それでもやはり性欲が完全になることはありませんから、相変わらず風俗店は存在しています。
むしろ、最近ではデリヘルが急増しています。
社会の変化によってカラダを売りたがる女性が増え、その受け入れ先としてのデリヘルが増えたのです。
その結果、需要と供給のバランスが崩れてしまい、経営困難に陥るデリヘルが増えています。
しかし、苦しい状況の中でも、女性がカラダを売りたいと思い、それをお店が受け入れれば、男性の需要は自然についてくると考えられています。
また、経済学においては「経済というものは合理的に動くもの」という考え方があります。
人間は不合理な行動をしてしまうことが多い生き物です。
例えば、いやだと思っているのにYESと言ってしまうことなんて、考えてみればかなり不合理な行動です。
しかし、その反面でやはり人間には知性がありますから、合理的な行動も多いものです。
同じ商品が二つのお店で売っており、片方のお店が安ければ安いほうで買おうとするでしょう。
値段が同じなら、良いものを買おうとするでしょう。
このような合理性が、性風俗では非常に強く機能します。
風俗嬢は美人であればあるほど売れ、不細工であればあるほど売れにくいという現象が、残酷なほどに現れるのです。
また、サービス料金が高くなればなるほど女性のクオリティは上がり、性的サービス自体も優れたものになるのが普通です。
このように、性風俗業界はかなり単純に機能しているとも言えます。
風俗店は、風俗嬢の求人広告にたくさんのお金をかけます。
お客さんの集客よりも、風俗嬢の求人にお金をかけているほどです。
これも、性風俗はカラダを売る女性がいなければ成り立たず、そして女性のクオリティが高いほど売れるからです。
だからこそ、お店の大切な経営資源であるお金を、風俗嬢集めに投じるのです。
そして風俗嬢が集まったならば、そこで初めて「さて、この風俗嬢を使ってどうすればもっと多く稼げるだろう?」ということを考えるのです。
それが、性風俗ビジネスというものです。
なぜカラダを売るのか
では、なぜ風俗店の求人に応募し、自ら風俗嬢になろうとする女性がいるのでしょうか。
このことには、政治経済が深く関係しています。
といっても、政府主導で風俗嬢がつくられているわけではありません。
しかし、政治経済の影響によって、風俗嬢が間接的に増えているのです。
女性がカラダを売ろうと思う理由にはいろいろあります。
お金が必要だから、誰かから必要とされたいから、エッチなことが好きだから、騙されたから・・・本当にいろいろあります。
それらの理由の中で一番多いのは、ずばり「お金が必要だから」という理由です。
それも、圧倒的多数です。
単純な話で、何らかの理由からお金が必要だからこそ、カラダを売ろうと思うわけです。
この理由は、豊臣秀吉が島原遊郭を作った時代から変わらないことです。
当時も、年貢を納められない貧乏な農家の娘が遊郭に売られたり、戦争で旦那さんが兵隊にとられて死んで、お金に困った未亡人が遊郭で働くようになったのです。
このような流れは、昭和の時代に日本が戦争に負けて高度経済成長を迎える前くらいまで続いていました。
日本以外のアジアで見ると、まだこんな現象は普通に起きています。
ブローカーが仲介して風俗店に女性を売っているのです。
普通の女性が風俗嬢に?
日本でも、高度経済成長期以降もこれと似たことは非合法に行われていました。
例えば、旦那さんが悪い金融業者に騙されて、どうしようもなくなって奥さんが風俗嬢にならなければならなくなった、ホストに貢いでいた女性が貢ぐお金が無くなって、騙されて風俗嬢になったなど、脅しや騙しによって風俗嬢が誕生するケースは確かにあったのです。
しかし、2005年を境にして、そのようなことはほとんどなくなりました。
なぜ、脅しや騙しによって風俗嬢になる女性が少なくなったのでしょうか。
それは、脅したり騙したりする必要がなくなったからです。
普通の女性が、自分の意志で風俗嬢になるケースが増えた結果、騙したり脅したりせずとも、風俗店は風俗嬢を確保できるようになったのです。
ここでいう「普通の女性」というのは、普通の家庭で育ち、高校や大学を普通に卒業し、社会のレールに乗って就職や結婚をする、ごく普通の女性のことです。
このような女性は、以前ならば風俗業界とは無縁でした。
そんな女性たちが自らの意志で風俗嬢になることを希望したため、法律に触れるような脅しや騙しによって風俗嬢を確保する必要はなくなりました。
貧困女性が増えた
なぜ、普通の女性たちが風俗嬢になることを希望するようになったかといえば、それは不景気が原因です。
豊臣秀吉の時代のように社会が混乱したり、バブル崩壊後の日本のように経済が混乱したりしたことで、経済的に追いつめられると、女性はカラダを売るのです。
これは、昔も今も変わらないことです。
日本でも、90年代後半から、社会的・経済的混乱が起こっています。
このことは、いくつかの数字を見てみると明らかなことです。
1997年の自殺者は2万4391人でしたが、1998年には3万2863人に増えています。
人が自殺に踏み切るときというのは、多くの場合経済的困難によって今後の人生に絶望した時です。
たった1年で1万人近くも自殺者が増え、社会的に大問題となっています。
失業率を見ても、同様のことが言えます。
長年、日本の失業率は2~3%台で推移していたのですが、1998年には4%を突破し、2002年には5.4%にまで増えています。
そして2017年現在、正規雇用者と非正規雇用者の比率は6:4にまで増えているという状況です。
これと同時に、世界的に見ても少子高齢化現象がかなりひどくなっており、高齢者や児童に対する虐待も増えています。
児童虐待の件数など、1990年には1101件でしたが、2013年には7万3756件に増えています。
約70倍というとんでもない急増ぶりです。
高齢者虐待の件数も、2013年には2万5310件になっています。
このことの根本原因は、いうまでもなく社会的・経済的混乱です。
行き詰った人々が、他人に責任を転嫁した結果、児童虐待や高齢者虐待が増えたとみることができるでしょう。
何しろ、相対的貧困率は先進国30か国のうち4番目に高く、2012年のデータによると20~64歳の単身女性のうち32%が貧困状態になっているのです。
生活保護受給者は217万人であり、いかに貧困世帯が多いかがわかります。
アメリカに次ぐ経済大国のいわれた日本も、内情を見てみればこのザマなのです。
日本では格差社会が進行し、女性を中心に貧困が広がっています。
普通に働いても普通の生活ができない状況になっているのです。
普通の生活ができない、つまり経済的に追い込まれている女性がカラダを売ろうとするのは、ごく自然な流れなのです。
雇用の崩壊
では、どうして日本は「アメリカに次ぐ経済大国」といわれるまでに成長することができたのでしょうか。
これは、日本型雇用というものがあったからです。
企業が社員を定年まで雇用し続け(終身雇用)、勤続年数に従って給料が上昇する(年功序列)というのが、日本型雇用です。
日本型雇用は平等性が強いため、非常に優れたものとされてきました。
そのシステムを見てみると、妻と子供は世帯主に扶養されるシステムになっており、終身雇用と年功序列によって富がよく分配され、国民のほとんどが平均的な生活、普通の生活を送ることができるというものでした。
このような状況の中では、普通の生活が送れずにカラダを売ろうと思う女性が少ないのも当然のことで、だから風俗業界は風俗嬢の確保が難しく、脅しや騙しが行われていました。
しかし、バブルの崩壊によってこの平和な時代は終わりました。
普通の生活を保障してくれた日本型雇用は壊れ、富の分配がなされなくなった結果、格差社会が進行し、お金持ちはますますお金持ちに、貧乏人はますます貧乏になっていきました。
景気がよく、だれもが普通の生活を送れた時代、カラダを売る女性は少数派でした。
風俗嬢といえば、何らかの「訳アリ」の女性ばかりだったのです。
例えば、多額の借金を抱えているとか、精神疾患を抱えていて普通の仕事ができないとか、買い物依存症になってしまって普通の稼ぎでは間に合わないとか、悪い男に騙されたとか。
何らかの事情を抱える女性ばかりだったのです。
しかし、格差が生まれたことによって、世帯主が奥さんや子供を養うことが難しいケースが増えました。
また、単身の女性が普通に働いても普通の生活ができないことも増えました。世帯収入の下落が止まらない世帯が多くなったのです。
女性の裸やセックスというものは、最も簡単に価値が認められるものです。
資格を取得した女性、学歴を持った女性なども価値を認められるものですが、「裸=お金」「セックス=お金」のように簡単なものではなく、「スキル=お金」「学歴=お金」とはいきません。
そのため、経済的に困る女性たちが、お金を得るために風俗嬢になることを希望することになったのです。
女性の裸の姿が、社会にどのように関係しているかを考えてみると、その社会の実相がよくわかるといわれます。
ここまで述べてきたことなど、まさにその通りでしょう。
女性が裸やセックスを売ってお金を得る風俗嬢という仕事を見てみると、その時代の政治経済の姿がよくわかるのです。
どんな女性が風俗嬢になりやすいか
政治経済の影響を考えていくと、どのような女性が風俗嬢になりやすいかということも見えてきます。
特定の業種の女性が風俗嬢になりやすいという傾向が確かにあるのです。
格差が拡大する前、つまり90年代後半までは看護師、美容師、アパレル店員などが風俗嬢になりやすい傾向がありました。
看護師は勤務内容が不規則で、生死を扱う仕事であるためストレスがたまりやすく、そのストレスから自分の性を解放したい衝動に駆られ、風俗嬢になる女性が多かったのです。
美容師やアパレル店員などは、賃金が安いことが理由です。
また、90年代といえば今のように人妻・熟女がまだ流行っていなかった時代ですから、若い人が多い美容師やアパレル店員が風俗嬢になるケースが多かったというのも理由です。
ちなみに、今でも美容師やアパレル店員が風俗嬢になるケースは多い傾向があります。
これは、賃金の安さが当時から改善されていないことの証拠とも言えます。
では、現在ではどのような職業の人が増えているのかといえば、圧倒的に多いのは介護士や保育士などの仕事です。
2000年代以降、人妻や熟女の人気が高まり、風俗嬢に年齢の上限がなくなったことも、介護士が風俗嬢になる理由となっています。
介護士や保育士といった仕事は、看護師と同様にストレスが大きい仕事です。
それに加えて、賃金が他の職業に比べて明らかに低い仕事でもあります。
ブラックといわれる環境の中で働く介護士や保育士も多く、彼女たちは大きな不満を抱えています。
それだけに、人間関係でのトラブルも起きやすいものです。
簡単に言ってしまえば、現代の日本における介護士や保育士といった職業は、完全に職業として壊れています。
そんなところで働く女性たちが、風俗に流れるのは仕方のないことです。
ついでに言っておけば、最近の日本で顕著な傾向として、シングルマザーの増加や、学費・生活費を稼ぎながら勉強する学生の存在があげられます。
単身女性が普通の生活をするのが難しい時代なのに、シングルマザーとして子供を抱えていたり、学費・生活費を稼ぎながら勉強しなければならない女性が、ましてやブラックな労働が蔓延している中での子育てや学業をしなければならないとなれば、貧困になってしまうのは想像に難くありません。
シングルマザーとして子育てをしながら生活を成り立たせる、あるいは学費を稼ぎながら学業を成り立たせるためには、短時間で効率よく稼ぐ必要があり、風俗嬢を選ばざるを得ないケースも増えているのです。
まとめ:今後も風俗嬢は増え続ける
風俗嬢が増加している背景には、以上のような背景があります。
とどまるところを知らない不景気、格差の拡大。
それによって貧困状態に陥った女性たちが、続々と風俗嬢になることを選んでいるのです。
アベノミクスによって、正規雇用者の人数は増えましたし、失業率もいくらか下がりました。
しかし、世帯収入は減り続けており、税金や物価も上がっていますから、貧困はまだまだ改善されそうにもありません。
今後も、風俗嬢は増え続けると考えられます。
風俗嬢が増えれば増えるほど、風俗店や風俗嬢の間での競争は激しくなり、稼げる風俗嬢と稼げない風俗嬢の二極化は深まっていくでしょう。
つまり、格差社会によって増えた風俗嬢の間でも、さらに格差社会が出来上がるのです。
今や風俗嬢という仕事は、裸になる覚悟さえあれば簡単に稼げる仕事ではなくなりました。
稼げる風俗嬢になるためには、相応の努力が求められる時代になっているのです。
皆さんも、稼げる風俗嬢になるために、ぜひ当サイトの記事を参考にしてもらえれば幸いです。