風俗嬢になったら、お店で講習を受けるという話を聞いたことがあるかもしれません。
中には、お店によっては、講習と称してセクハラが行われるといった話もありますが、実際のところはどうなのでしょうか。
本稿では、風俗店と講習の関係を解説していきます。
店舗型風俗店では講習を行う
風俗店にもいろいろありますが、ソープランドや箱ヘルなどの店舗型風俗店と、デリバリーヘルスやホテルヘルスなどといった無店舗型風俗店における最大の違いと言えば、それはサービスのレベルにあると言っていいでしょう。
その理由は、お店が行う講習にあります。
一昔前であれば、風俗店に新しく入ってきた女の子に対しては、講習を行うのが当たり前でした。
これは、初めて風俗嬢として働く女の子はもちろんのこと、ほかのお店から移動してきた女の子に対しても行います。
なぜならば、お店の方針が違うことがあるためです。
特に、サービスの質が高いことが当たり前になっているソープランドでは、ベテランの風俗嬢が新人に対してしっかりと講習を行います。
例えば、一日三時間の講習を三日間は行うというようなものです。
このように時間をかけて、みっちりとサービスを教え込むことになります。
また、講習を行うベテランソープ嬢に対しては、講習料も支払われます。
新人ソープ嬢は、お店のサービス料と同じ金額をベテランソープ嬢に支払うことによって、講習料とするのです。
これはどのお店にも見られたしきたりで、このため、新人ソープ嬢はお店に対して借金を抱えた状態でのスタートになるというケースも珍しくありませんでした。
今でも、高級ソープなどでは、これと同じような講習が行われていることが多いのですが、講習料はお店が負担するケースが増えているようです。
店舗型風俗店の場合には、ファッションヘルス、イメージクラブ、性感マッサージなど箱ヘルがありますが、これらもソープランドと同様に講習を行います。講習を経て、お客さんの前に出して大丈夫と店側が判断して、初めて働けるシステムのお店が多いのです。
と言っても、ソープランドと箱ヘルには大きな違いがあります。
それは、ソープランドではベテランソープ嬢が講師になるのに対して、箱ヘルでは店長やスタッフといった男性が担当することが多いことです。
ただし、ソープランドでも、お店によってはオーナーや店長などの男性が担当することがありますし、箱ヘルでも在籍する風俗嬢や風俗専門の女性講師が担当することもありますから、これは単なる傾向のことであって、一概に言えることではありません。
なぜ講習を行うか
では、なぜ店舗型風俗店では講習を行うのが普通なのでしょうか。
プレイの中で学んでいけばいいんじゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。
現在は、風営法によって、ソープランドや箱ヘルといった店舗型風俗店が新規出店することはできません。
法律的に違反と言うわけではないのですが、出店しようとしても許可が下りないため、事実上出店不可能となっているのです。
このことから、現在営業している店舗型風俗店は、風営法が改正されて新規出店ができなくなる前から続いている、いわば老舗の風俗店ばかりになっています。
このようなお店では歴史が長いだけに、他店との競争に負けずに、いかに生き残っていくかというノウハウを蓄積しています。
そのノウハウの中には、サービスに関するノウハウも多く、またお客さんが離れないためには「サービスはかくあるべし」といった哲学を持っているものです。
このようなお店で、もし講習を行わなくなれば、新人の風俗嬢がお客さんの前に出たとき、その哲学に基づくサービスはできません。
他店から移ってきた風俗嬢にしても同じことで、そのお店のあるべきサービスを提供することはできないでしょう。
そうなると、お店のサービスの質が落ちてしまい、長い歴史と信頼に傷をつけてしまうことになります。
だからこそ、きちんと講習を行い、少なくとも最低限のサービスができない風俗嬢は、お客さんにつかせることはないのです。
ちなみに、講師が男性である場合には、一つだけ守るべき暗黙のルールがあります。
それは、男性講師は講習中に絶対にイってはいけないというものです。
講習を行う講師は、あくまでもその風俗嬢を一人前にするために、接客における作法や性的な技術を教えるのが目的ですから、それが講師の性欲のはけ口になってしまっては、お店側の風紀が乱れてしまいます。
そのため、もし射精をしてしまったならば、罰金として女の子にプレイ料金分を支払わなければならないことになっています。
デリヘルは講習しないお店が多い
一方、デリヘルなどの無店舗型風俗店では、店舗型風俗店とは違って、講習を行うことがかなり少なくなってきています。
これは、デリヘルなどは簡単に開業できてしまうため、歴史も浅く、その店が守るべき伝統や信頼、信念や哲学といったものがないため、お店側が講習の必要性を感じていないのです。
また、デリヘルは、公安委員会に届け出を出すだけでオープンできます。
このため、風俗業界の経験が全くない経営者も多く、女の子に講習をしようにも何を教えたらいいかわからないということも多いのです。
さらに、最近では一般社会において女性の権利が強くなってきており、ちょっとしたことがセクハラになることも増えています。
風俗業界でも同じような流れが起きており、女の子に講習をすることがセクハラという認識が蔓延しています。
そのため、お店でもトラブルが起こらないように、「当店では講習を行っておりません」と謳いながら女の子を募集をすることが増えているほどです。
このほか、最近の風潮として、プロの風俗嬢よりも素人っぽい風俗嬢の方が好まれる傾向があります。
そのため、あえて講習を行わずに客前に出すことによって、つたないサービスで満足度を上げようとするお店も増えています。
もっとも、お店によってはサービスの向上こそお店の生きる道と認識し、世の中の風潮はどうあれ、セクハラと誤解されるリスクも受け入れつつ、男性スタッフが講習しているお店もあります。
例えば、私が以前取材したあるデリヘルでも、必ず講習を行っていました。
これは、店長自ら講習を行うことによって、その風俗嬢の体型やプレイの特徴などを把握しておくことが必要だからです。お客さんが電話で予約する際に「胸の大きい子がいい」「全体的にすこし太目の女の子がいい」「雰囲気がエロい女の子がいい」「ちょっとMっぽいプレイがしたい」などの問い合わせを受けることがあるのですが、店長が実際に講習を通して知識を得ていなければ、「それなら、○○ちゃんがおすすめですよ」などとアピールすることができないのです。
このように、デリヘルの中にも、新人の女の子に対して講習を行っているお店があることも知っておくべきです。
講習の様子
では、講習はどのように行われているのでしょうか。
あるお店の講習を例に見てみましょう。
デリヘルでは、お客さんが待っている自宅やホテルに風俗嬢が出向いてサービスするわけですが、部屋に入る時にはお客さんと自分の靴を並べるところから指導されます。
このような基本的なマナーは、飲食店でも風俗店でも変わりません。
靴を並べて部屋に入ると、お客さんに挨拶をし、料金表を提示してシステムを紹介します。
このとき、注意事項の説明も行い、本番などの禁止事項についても伝えるのですが、その伝え方はどのようにするのか、ということも教えられます。
風俗では基本的に前払いであるため、お金の受け取り方、取り扱い方もレクチャーされます。
お金の扱い方まで教えられるというと、かなり細かい印象を持つかもしれません。
しかし、これは必ず教えられます。なぜならば、お客さんの中には支払ったお金を盗んでしまう人もいるからです。
普通のお店ならば、レジで支払いを受けて取り扱うため、まさか客がレジの中からお金を盗むわけにもいきませんが、デリヘルは風俗嬢とお客さんが二人きりの空間でお金のやり取りをするため、盗まれるということが起こりやすい環境なのです。
そのような事態を防ぐために、風俗店ごとに色々な対策を講じています。
例えば、あるお店では、お客さんから受け取ったお金をそのまま料金表のファイルに入れ、テーブルの目立つ場所に置いておくという対策をしておきます。
そして、帰る時にそこから回収するのです。
もし、財布やカバンの中といった、誰も見えないところにお金を入れてしまうと、そこからなくなったとしても紛失として言い逃れをされることになるのですが、風俗嬢からもお客さんからも見える場所にお金を置いていれば、お客さんは心理的に盗みづらくなるものです。
また、盗もうとしたところで風俗嬢がすぐに気づくことができるのです。
さて、お金の受け渡しまで終わったら、お客さんを風呂場に誘導するのですが、その時の誘導の方法、うがいのさせ方、体の洗い方、体の拭き方が教えられ、それが終わるとベッドでのプレイの指導が行われます。
ベッドでは、キス、全身リップ、手コキ、フェラチオ、素股のやり方が始動されます。
「なんだ、大したこと教えてないじゃん」と思うかもしれませんが、フェラチオといっても勃起させるフェラもあれば、気持ちよくさせるフェラもあれば、イカせるフェラもあります。
同じフェラでも、それぞれやり方が違うため、教えられなければ使い分けは難しいでしょう。
もっとも、上述の通り、多くのデリヘルではノウハウがなく、講習でも「彼氏にやるのと同じでいいから」などと教えることが多いようですが、これなどは店舗型と無店舗型のサービスの違いにおける典型的な例です。
教えられるのと教えられないのとでは大違いですし、「彼氏と同じでいい」と言われたって、ほとんどの女性は彼氏をフェラでイカせようとしたことはないものですから、上手にすることは難しいのです。
このほか、素股も講習がなければ難しいものです。
動き方が独特ですから、どうすればいいのかわからないことでしょう。
あるお店では素股に関する講習では、どの体位でも、股にあたった男性器を女の子が手で挟んでピストンするように教えていました。
なぜなら、素股では手が重要だからです。
手があってこそ、男性器が刺激される面積が増えますし、なによりもお客さんが間違ったふりをして中に入れようとしてくることを防ぐことができるのです。
これが終わると、プレイ後のシャワーを浴び、うがいをし、テーブルのお金を回収してホテルを出ます。
ここまで教え込んで、最後に本当に理解していることをチェックするために、口頭で確認を行います。
プロの講師の存在
もっとも、最近ではサービスの向上を目指すお店も少しずつ出てきています。
デリヘル店が多く、競争が激しい昨今、サービスの向上によって他店と差をつけようとしているお店があるのです。
そのようなお店では、お店に講習のノウハウがないため、プロの講師に依頼して講習することになります。
では、このプロの講師とはどのような人たちなのでしょうか。
プロの講師とは、外部からお店に出向いて講習を行うことを仕事としている人達です。
また、講師によっては、技術を高めたい風俗嬢の個人的な依頼にも対応しています。
ほぼすべての講師は女性であり、全国では30人程度の講師が活動しているとされています。
多くのプロ講師は、引退した元風俗嬢なのですが、中には現役の風俗嬢として活動しながら講師をやっている人もいます。
ブログやツイッターを通して講習の希望を受け付けるのですが、中には全国の風俗店を飛び回っている講師もいます。
講師の人数は少ないのに対し、風俗店や風俗嬢の数は増えており、お店とお店あるいは風俗嬢と風俗嬢の競争が高まっていますから、需要は伸びています。
プロ講師の実態を知るためには、プロ講師のインタビューを参考にするのが最も良いでしょう。
東京を活動拠点とする、あるプロ講師は、こんな風に語っています。
最近、地方の風俗店からも依頼が来るようになりました。
遠い時は九州のお店に行くこともあります。経営者さんの話を聞いていると、講習の必要性を感じているお店が増えてきているように思います。
私の場合は、女の子を教える講習もやっていますが、お店の希望によっては男性スタッフを相手に講習して、そのお店が講習できる体制を作るのに力を貸すこともあります。
素股のような技術が必要なこともしっかり覚えてもらって、従業員が女の子に教えられるようにするんです。
私が教えた女の子とかスタッフが、また新しい子に教えることも多いみたいです。
プロ講師を呼ぶお店は、サービスの質を高めることに積極的であり、お店としての経営理念がしっかりしている場合も多いものです。
また、プロ講師を呼ぶことで、お店のサービスの質は上がっていきますから、そのお店の人気が出る確率も高いといえます。
したがって、これから風俗嬢になる女性が選ぶ際には、プロの講師を呼んでいるお店を選ぶとよいでしょう。
特に、お店を移るのではなく、まったくの未経験で風俗嬢を始める女性は、講習をしっかりしてもらわなければ満足なサービスは提供できませんから、プロからしっかりと教えてもらえるお店が好ましいです。