風俗嬢には色々な悩みがあります。
お客さんとの付き合い方も、一つの悩みと言えるでしょう。
お客さんが、風俗嬢のことを本気で好きになってしまうこともあるからです。
風俗嬢の方にその気がなければ、お客さんからどれほどアタックされても、断ると思います。
しかし、中には、「あれだけ愛してくれたと思っていたのに、騙されていたのか」などと逆恨みし、ストーカー化してしまう場合もあります。
もし、お客さんがストーカーになってしまったとき、風俗嬢はどのように対処すればよいのでしょうか。
なぜお客さんはストーカーになるか
風俗店で働いていたところ、ストーカー被害に遭ってしまったという風俗嬢の話は珍しくありません。
お客さんが風俗嬢に恋愛感情を抱いてしまった結果、そうなってしまうことがあるのです。
風俗嬢からすれば、サービスとして射精させているのであって、お客さんに恋愛感情などないと思います。
しかし表面上は、お客さんが恋人気分になれるようにラブラブな演出をし、癒しを提供します。
それが仕事なのだから当然です。
また、一般論でいうならば、性的な行為は恋人同士や夫婦で行うものです。
心が結ばれて体も結ばれるのが普通であり、心が結ばれていないのに体が結ばれるということもありますが、やはり一般的とは言えません。
さらに、風俗に来るお客さんの中には、恋愛経験が全く(あるいはほとんど)ない人が多いです。
そんなお客さんは、風俗嬢という仕事を割り切ることができず、風俗における性的行為を一般論で解釈してしまった結果、恋愛感情を抱くようになってしまいます。
そして告白し、フラれ、ストーカーになってしまうことがあるのです。
恋愛経験に乏しいからこそ、フラれた理由も分かりません。
サービスとして行なった愛情表現をまともに受け止め、「あの子も俺のことが好きなはずなのに」と考えます。
風俗嬢はお客さんを避けても、「何か理由があるに違いない、話し合わなければ」などと考えて待ち伏せることがあります。
それでも風俗嬢に避けられ続けると、若干の戸惑いも生じてきます。
何とか自分の思いを伝えたくて、声をかけたいけれどかけられず、しかし忘れることもできず、風俗嬢を自宅まで尾行することもあります。
今度自宅に行って謝ろうとか、自宅に行ってゆっくり話をしようと思うのです。
しかし、これはまだ、それほど恐ろしくないストーカーのパターンです。
怖いのは逆恨みです。
お客さんの中には、恋愛経験がないために自分の純情をぶつけ、破れた結果、「騙された!」と思うことがあります。
普通のお客さんならば、そもそも恋愛感情を抱きませんし、風俗嬢の甘い言葉もサービスの一貫だと知っていますから、「騙された」と思うことはありません。
しかし、恋愛経験がないお客さんは騙されたと感じてしまいます。
そこで憤慨して、「もう二度と風俗にはいかない!」で終わればいいのですが、怨まれることもあります。
あんなにいちゃいちゃしていたのに。
全部、俺を通わせてお金をとるためだったのか。
俺の純粋な気持ちで肥え太ったアバズレめ。
懲らしめてやる。
などと思うようになれば、かなり危険です。
可愛さ余って憎さ百倍ということわざがありますが、まさにこのことです。
自宅に押しかけて来たり、自宅に郵便物を送り届けたり、盗聴や盗撮をしようとしたり、付き合えと脅したり、レイプを図ったり、最悪の場合にはいわゆる「ストーカー殺人」に発展する可能性もあります。
ストーカーへの対策
では、ストーカーに対策するためには、どうすればよいのでしょうか。
まず知っておきたいのは、ストーカーの発生を予防することはできないということです。
お客さんの恋愛経験がどうであるか、風俗経験がどうであるか、逆恨みするタイプかどうかなど、正確に判断できるものではありませんし、フリーでついたお客さんにその傾向があったとしても、サービスの手を抜くのは好ましくありません。
そのため、風俗嬢としては、基本的には全てのお客さんに同じようにサービスを行い、その一環として恋人同士のような演出もしていくことになります。
当然、その中でストーカーが発生することもあるでしょう。
したがって、ストーカー対策としては、その予防ではなく、発生後の対処が重要となるのです。
お客さんがストーカーになった場合、以下のように対処していきます。
お店に相談する
最も手近な対処は、お店に相談することです。
ちょっとストーカーっぽい感じがしてきて、気持ち悪くなってきたならば、お店に相談してNG客に指定してもらうのが良いでしょう。
そうすれば、お客さんが指名をしてきたときに、「今日は予約でいっぱいですが、他の子はいかがでしょうか」などと対処してくれるようになります。
この対処は、早ければ早いほど効果があります。
早期にストーカーの兆候を見抜いてNG指定すれば、お客さんもまだそれほど本気になりきっていませんから、指名できないことが続けば他の風俗嬢に乗り換えていきます。
ただし、ちょっとストーカーっぽいところがあっても、全然危険ではなく、実際にはとても良いお客さんというパターンも多いので、判断が難しいのが難点です。
ちょっとしたことですぐにNG指定すれば、良いお客さんをなかなか捕まえられなくなります。
したがって、多くの場合には、明らかに危なそうなお客さんだけを早期にNG指定することはできても、それ以外のお客さんがストーカー化することを、完全に防ぐのは不可能だと思います。
その場合にも、手遅れかもしれないけれども、ともかくNG指定を真っ先にすべきです。
しかし、NG指定したところで、お客さんが待ち伏せしていることもあると思います。
その時には、お店の送迎を使って後をつけられないようにしましょう。
お店を変える?
個人情報を知られていない段階ならば、お店を変えるのが最も手っ取り早い方法です。
お店を変えてしまえば、お客さんにはお店からいなくなったという事実しか把握できず、ストーカーする術もなくなり、諦めることでしょう。
ただし、この方法を採ると、せっかくそのお店で指名してくれていたお客さんも全て失うことになってしまいます。
新しいお店では、また一から指名客を獲得していかなければなりません。
実際、ストーカー被害に遭ってお店を変えなければならなくなり、転落した風俗嬢もいます。
それまではお店のコンセプトや客層にもマッチしていて、月収100万円以上稼げていたのに、お店を変えたら人気がそれほどなくなり、月収が半分以下に落ち込んでしまったのです。
お店を変えることには、このようなリスクがあります。
したがって、このリスクを受け入れても、ストーカーから逃げなければまずいと思ったときだけ、お店を変えるべきです。
また、ストーカーも危険だけれども、お店を変えることはデメリットが大きすぎると考えるならば、以下のように、警察や弁護士に相談するという方法もあります。
警察に相談する
以前は、ストーカー被害に対して、警察が積極的に取り組むことはありませんでした。
これは警察の怠慢と見られることもあるのですが、ストーカーの相談の中には被害妄想に近いものも含まれているわけで、全てに真面目に取り組んでいくことは、あまりにも非効率であり、また現実的に難しいということもありました。
しかし、ストーカーから殺人に発展し、被害者が警察に何度も相談したのに取り合ってもらえなかったという事件も起きました。
こうなると、警察への批判が高まり、警察も動かざるを得なくなってきています。
待ち伏せや付きまといによって被害を受けているならば、動いてくれる可能性があります。
とはいえ、見回りにどれくらいの人員を割けば安全なのか、いつまで見回りをすれば安心と言えるのかといったことが、明確ではない世界です。
警察としても、守らなければならない市民はたくさんいるわけですから、一人に対して何ヶ月間も、何年間も見回りを続けるわけにはいきません。
さらに、警察がすべてのストーカー相談に乗るのは現実的に難しいという背景もあり、重要度が低いとみなされてしまえば、それほど助けてもらえない可能性もあります。
ストーカーの状況を詳しく伝え、恐怖を感じていることを痛切に訴えれば、対処してもらえる可能性もあります。
また、実際に何らかの被害受けていたならば、警察が事件として取り扱ってくれるでしょう。
したがって、まずは警察に相談してみるべきです。
しかし、警察が積極的に動かなければ、弁護士に相談することになります。
弁護士に相談する
弁護士は、非常に強力な存在で、最終兵器と言っても良いでしょう。
そもそも、ストーカーは明らかな迷惑行為であり、ストーカー規制法という法律もありますから、法律家である弁護士が最も強いといえます。
お店に相談すれば、風俗業界でのトラブルに強い、付き合いのある弁護士を紹介してくれることもありますから、お店に聞いてみてください。
弁護士は、お金をもらってトラブルを処理する仕事ですから、警察と比べて対処は迅速かつ強力です。
弁護士は、まずストーカーに内容証明を送ります。
内容証明には、ストーカー被害で弁護士が動いていること、警察も了解済みであること、裁判の用意があること(今後被害が起こればいつでも警察に突き出し訴訟を起こすこと)、今後、現実世界やインターネットなどのあらゆる場所で、一切接触しないことなどを勧告するものです。
これには、かなりの抑制効果があります。
弁護士からの内容証明によって事の重大さを始めて知り、おとなしくなる犯罪者もたくさんいます。
もちろん、相手が本当にヤバい奴だった場合には、「俺は何も悪くない!あの女が俺を騙したのが悪いのだから、訴えられるべきはあの女だ!」などと逆上して、行為がエスカレートしてしまう可能性もあります。
しかし、弁護士はそれも見越しています。
弁護士から直接、警察にパトロールを要請してくれるのです。
弁護士が入ったとなれば、法律問題になってきます。
法律に違反した者を取り締まる警察としては、あらゆるストーカー相談がある中で、優先的に動く必要があります。
そして、弁護士と警察が密に連絡を取り、弁護士が「もう大丈夫」と判断するまでは、警察は巡回し続けてくれます。
弁護士は心強いぞ!
弁護士は、本当に心強い存在です。
ストーカー被害ではないのですが、筆者自身がそれに類似した被害に遭ったときの話を簡単にしておきましょう。
事件の詳細はお話しすることができませんが、筆者は命の危険を感じる状況でした。
もちろん、弁護士に相談しました。
弁護士はすぐに内容証明を作成し、相手に送りつけました。
相手は、内容証明が届くまでは八方手を尽くして私を追っていましたが、内容証明が送られると「これ以上動くと警察が動く」と考え、静かになりました。
私の周りを嗅ぎまわっていたのも、ぴたりとやみました。
それでも、万が一の場合に備えて、弁護士はすぐに警察に相談してくれました。
弁護士と私で警察署に行くと、その署の副署長とお偉いさん数人、警備課の数人が面会してくれ、色々と事情を話すことができました。
その結果、その日から私の家の周辺では常に巡回が行われました。
また、警備課の人に携帯番号を交換しておくと、週に1回以上は「何か変わったことはありませんか」と電話くれました。
このような保護によって、私は安全を確保することができました。
よく、「警察は本当に動くべき時に動いてくれない」などと言いますが、それは一方的な見方です。
しかるべき手順を履めば、警察は必ず味方になって動いてくれます。
皆さんも、ストーカーが本当に危険だと思った時、警察があまり動いてくれないと思ったら、弁護士を頼りましょう。
弁護士経由で警察に要請すれば、必ず動いてくれます。
相談料は無料という弁護士事務所も多いので、まずは相談です。
もちろん、弁護士に依頼すると、弁護士費用がかかります。
事務所によって金額は異なりますが、数十万円はかかることもあります。
内容証明だけならば数万円、警察への交渉も含めれば十数万円と言ったところでしょうか。
告訴することになれば30~50万円かかってくることでしょうが、慰謝料を請求して弁護士費用に充てることもできます。
慰謝料はいらないから、とにかくストーカーを辞めさせてほしいというならば、内容証明と警察への交渉だけで済むでしょうから、十数万円と言ったところです。
すぐに払えない場合でも、弁護士に相談すれば、分割払いなどに対応してもらえます。
例えば、相談料、内容証明、警察への交渉で15万円の弁護士費用がかかったとすれば、それを毎月3万円ずつ、5ヶ月で支払いという方法も可能です。
まとめ
ストーカー被害は、一般の女性でもかなり怖い被害です。
接客の中で愛情表現をし、性行為にまで至っている風俗嬢ならば、かなり重度のストーカー被害に遭う可能性も高まります。
ストーカーに遭ってしまえば、それまで風俗嬢として築き上げてきたものを壊されてしまったり、そればかりか命の危険にもさらされてしまう可能性があります。
したがって、最悪の事態に陥る前に、お店、警察、弁護士などに相談し、被害を最小限に止めるようにしましょう。