風俗嬢として働くにあたって、嫌なことと言えばどのようなことがあるのでしょうか。
まず考えられるのはお客さんとの関係における嫌なことであり、これは他の記事でも紹介した通りです。
しかし、風俗嬢はお客さんとの関係だけで嫌な思いをしているわけではありません。
その他にも、お店の中で色々な嫌なことに遭遇しているのです。
では、それはいったいどのようなことなのか、本稿ではそのことについて見ていきましょう。
お店で嫌な思いをしている風俗嬢は多い
複数の風俗嬢に聞いてみたところ、今まで働いたことがある性風俗店において、何らかの嫌な経験があったという風俗嬢はかなり多く、その数は半数以上に上ります。
また、一口に「嫌な経験」といっても、色々なことが挙げられるようです。
最も多かったのは、店長や従業員との関係です。
例えば店長や従業員の態度や言動で嫌な思いをさせられていたり、お店側が特定の風俗嬢に対してひいきをするなどが挙げられます。
次に多いのがお店の待遇や環境です。
これは、例えば風俗嬢の写真を無断で風俗専門誌やホームページに掲載されたり、労働時間を延長させられたり、ひどい場合には(これはかなり悪質なお店でしょうが)給料の不払いなどがあります。
最後に、同僚関係でも嫌な思いをする風俗嬢は多いようです。
これは、単純に風俗嬢の間で相性が合わないというものから、派閥やイジメがあるなどが挙げられます。
では、上記の3つのことについて、詳しく見ていきましょう。
店長や従業員が原因
店長や従業員の態度
性風俗店での嫌な経験として、店長や従業員が原因となるものを挙げた人は、全体の3分の1にも上ります。
これは、店長や従業員の態度が偉そう、むかつく、怖いというようなことです。
単に店長や従業員との相性が合わないということもあるでしょうし、嫌味を言われて嫌な思いをすることもあります。
このほかにも言い方がきつい、お客さんへの接客方針について色々と口出しをされるなども含まれます。
そんなときどうするのかと聞いてみたところ、言い返したり社長に言いつけるという対処をするという風俗嬢もいましたが、改善されるのは難しいようです。
そのため、店長や従業員の関係で嫌な思いをして耐えられなくなった風俗嬢の多くは、お店を変えるという対処をとっているといいます。
風俗嬢間でのひいき
このほかに多かったのは、特定の風俗嬢に対してひいきがあるということです。
ひいきの内容としては、自分には厳しいにもかかわらず特定の風俗嬢とは仲が良く優しくしているというものから、フリーのお客さんに優先的につけたり、コスチュームなどの営業のためのアイテムの割り振りが不公平であるといった、そのことによっては労働条件が変わってしまうようなひいきもあるようです。
風俗嬢としては、短時間で効率よく稼ぎたいとか、たくさん働いてたくさん稼ぎたいといった気持ちで働いている人も多いため、労働条件が不公平になるひいきをされると、大変嫌な思いをすることとなります。
一般的に風俗店では、フリーのお客さんにつける風俗嬢を選ぶ時、指名をバンバンとってくる風俗嬢や、成績はまあまあであるものの一生懸命やっている風俗嬢、新人風俗嬢などに優先的につける傾向があります。
これは、ある程度仕方のないことでしょう。
指名をたくさんとれる風俗嬢はサービス内容が充実しているし、一生懸命やっている風俗嬢も同様であるため、お客さんの満足度を考えれば、お店としてはそうするのが当然でもあります。
こうして風俗嬢の間で優先度に差をつけることによって、リピーターを増やすのに役立つ風俗嬢を大切にする傾向があるのです。
また新人風俗嬢については、お客さんの中には新人のサービスを受けてみたいと思う人が多いものですし、新人風俗嬢の経験値を上げるためにもそうした方が良いという意味合いがあります。
逆に、やる気が感じられない風俗嬢や、手を抜いたサービスをしている風俗嬢をフリーのお客さんに付けてしまうと、クレームを付けられてリピーターを逃してしまう可能性が高まります。
そのため、お店はそのような風俗嬢にはつけるお客さんの数を減らすという措置を取って無言の制裁を加えることがあります。
お店が特定の風俗嬢を何らかの理由で辞めてほしいと思っている場合にも、なかなかお客さんにつけないようにすることで、遠回しにお店を辞めることを促すこともあります。
風俗嬢としては、お客さんを取れなければ稼ぐことができず生活も厳しくなるため、他のお店に移らざるを得なくなるのです。
お客さんにつけるかどうかという判断は、お店を経営していく上で不可欠のものでもあります。
しかし一方では、店長や従業員に従順な風俗嬢や、店長や従業員が個人的な感情から可愛がっている風俗嬢をひいきするということも起こり得ます。
同僚から見ても、特に頑張って指名を取っているわけでもない風俗嬢がひいきされるということがあるのです。
そのようなお店ならば、一生懸命やっている風俗嬢は納得がいきませんし、一生懸命にやるのが馬鹿らしくなって働きづらさを感じることでしょう。
しかし、「ひいきに文句を言えばクビになりそう」「お店の人に言ってみたけど『そんなことはない』ととぼけられた」などということが多く、そのような場合にはお店を変えたり辞めたりする風俗嬢がほとんどとなります。
お店の利益のための合理的なひいきならばまだ納得もいきますが、そうでないひいきをするお店は、風俗嬢にとって良い環境とは言えないでしょう。
良い環境のお店に巡り合えるように、お店を変えていくという対処は合理的です。
従業員のセクハラ
このほか、従業員のセクハラも嫌な経験として挙げられています。
セクハラ問題は、産業構造から考えても、風俗産業では表面化しにくい問題です。
性的サービスを提供しているお店ですから、セクハラといってもそれが仕事上必要であるか・不要であるか区別が曖昧であるため、問題化も難しくなるのです。
例えば、店長が風俗嬢のおしりを触ったとして、それに対して抗議をしても、店長が「性的サービスをしているのだから、このくらいで騒いでいてどうする」などと言えば、妙に納得してしまう風俗嬢は多いことでしょう。
しかし、性的サービスを行い対価が支払われるならば良いのですが、セクハラはそうではありませんから、本来はきちんと区別されるべきことです。
それに、風俗嬢自身が望まない性的な言動に対して労働環境が悪いと思えるならば、それはセクハラの定義に当てはまります。
とはいえ、やはり区別を難しくさせる構造があるのも間違いありません。
その顕著な例が「講習」です。
入店した際、風俗嬢はサービスの流れや技術に関する講習を受けることになりますが、その際には店長や従業員がお客さんの役でサービスを受けることになります。
先輩の風俗嬢が教えてくれることもありますが、男性従業員が行うことがほとんどでしょう。
これはもちろん、サービスの一環ではないため対価は支払われません。
また、入店して間もない時に行われることであるため、他の風俗嬢も同じような講習を受けているかどうかの判断をすることはできませんし、またどこまでが講習であるかは明確ではありません。
そして、雇われの身としては「講習」と言われれば断りにくいでしょう。
風俗嬢の中には、
入店して間もないころに講習を受けたんですけど、従業員がイクまでさせられたし、『入れていい?』って聞かれたし、なんか性処理に利用された感じがした。
と語ってくれた人もいました。
もっとも、このような講習の際には甘んじて受け入れるという対処がほとんどになるようです。
風俗嬢になろうと思う女性の多くは生活に必要なお金が足りなかったり、何らかの理由からお金を得ようと決めて風俗嬢になろうとするケースがほとんどであるため、風俗店とはそういうものだと割り切って講習を勤める風俗嬢が多いからです。
このほかにも、風俗店では従業員と話をする機会が少ないことや、女の子は商品だから丁寧に接するようにと教育されている従業員も多いため、講習の内容はセクハラとも思えるものの、それほど気にならないということも多いようです。
お店の待遇や環境
労働時間が守られない
これは、主に労働条件に関する問題です。
最も多かったのは、シフトを自由にしてもらえなかったという不満です。
特に、働く時間をお店の都合で長くさせられたとか、何の断りもなく延長させられたといった不満が多いようです。
例えば、昼から8時間の労働と決まっていたものの、8時間働いた後に連続で夜のシフトも出てほしいと言われるような状況です。
このほかにも、休みがなかなか取れないとか、休日なのに出勤してほしいと言われると言ったものもあります。
お店が人気店であったり、風俗嬢の数が足りていないお店であれば、このような事態が起こりがちになります。
お店としては、経営していく上でこのようなことも仕方ない部分があるのでしょう。
風俗店に限らず、予想以上にお客さんが来店したり、スタッフの数が足りない場合には、労働時間の延長や休日出勤を依頼されるというのはよくあることです。
もし予想以上にお客さんが来店して風俗嬢が足りなくなれば、接客まで長時間待たせなければならなくなり、不満を抱いて帰ってしまうこともあります。
「このお店は○時間も待たされた。改善してほしい」などという口コミがネットなどで流れてしまえば、お店は損害を被る事にもなります。
指名をした風俗嬢が忙しくて長時間待たされるならばまだ納得がいきますが、指名もしていないのに単に風俗嬢の数が足りないという理由から長時間待たされてしまえば、お客さんはお店に悪い印象を持つようになり、リピーターにもなってくれないことでしょう。
それを避けるために、お店としてはとにかく接客できる風俗嬢を揃えておく必要があります。
それが結果的に風俗嬢の負担になることもあるのです。
しかし、視点を変えてみれば、お客さんが満足してリピーターになってくれれば、それは風俗嬢にとってもよいことですから、売れるキャバ嬢の中にはお店が忙しくて人手を必要としている時は好機と捉えて頑張る風俗嬢もいます。
労働条件が変更される
ほかにも、労働条件が一方的に変更されて嫌な思いをすることもあります。
具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 面接のときには最低保証を出すと言っていたのに色々な理由(「雑誌に出ないから」「生フェラをしないから」など)で保証が出なかった
- お金をとって規定以上のサービスをやるように言われた
- 給料がきちんと払われなかった
- 急にクビになった
このような変更を平然と行うお店では、日常的にそうしていることが多いため、改善は難しいことがほとんどです。
そのため、不満を持った風俗嬢のほとんどはお店を変えたり、諦めたりという対処をすることになります。
風俗嬢として働くメリットは、自由な時間に出勤できたり、自分の都合に合わせて休みを取ったりできることです。
しかし、実際にはそれを許さなかったり、労働条件が悪かったり、労働基準法に違反しているようなお店も多く、それが公に訴えられるということもほとんどありません。
「公に訴えられない」理由としては、風俗嬢という働き方に風俗嬢自身が負い目を感じて訴えを避けたり、他のお店で働けばいいと考えて訴えが行われず、問題が表面化することも少ないのです。
もっとも、自由に働けるという風俗嬢のメリットを損なうようなお店は少数派であるため、もし勤めているお店がそのようなお店であった場合には、お店を移ることを考えましょう。
自分に合うお店を見つけて移ることができれば、良い働き方をすることができ、長く勤めて多くを稼ぐこともできるのです。
同僚関係
同じ性風俗店で働く風俗嬢同士で関係が悪いという問題もあります。
風俗店の中で派閥がある、イジメがあるなどであり、そのために雰囲気が悪いなどの問題です。
仲が悪い風俗嬢や相性が合わない風俗嬢がいるという軽微な問題も含まれますが、やはり「あの子は本番するよ」とお客さんに言いふらされたり、物をこっそり捨てられたりといったイジメもあります。
特に、お客さんにつくまでの時間を一人で待機するのではなく、共同部屋で待機する場合には、同僚との関係が悪ければ非常に働きづらくなります。
一人で待機するお店ならば、人間関係を持ちたくない風俗嬢にとっては好都合です。
しかし一方で、同僚の風俗嬢とほとんど関係を持てないお店になると、風俗嬢同士の交流が全く行われないことから、職場での悩み事を相談する相手がいなかったり、情報交換ができないため待遇に不満があっても我慢するほかなかったり、といった問題も出てきます。
イジメや派閥以外にも、同僚関係における問題があります。
例えば、同僚からひがみを受けるとか、愚痴が多い子にむかつく、といった問題です。
このようなことで嫌な思いをするという風俗嬢は少数です。
しかし、ある程度指名客がついていて、風俗嬢としての自分に自信がある女性ならば、このようなことで嫌な思いをすることもあるのでしょう。
上述の通り、お店側としては頑張っている風俗嬢や指名を取れる風俗嬢を大切にする傾向があり、その風俗嬢をうまく使って固定客を得ています。
見方を変えれば、他の風俗嬢につく可能性があったお客さんが特定の風俗嬢に回されることになるため、時にひがみを受けることもあるです。
このほか、頑張っている風俗嬢からしてみれば、「特に努力もしていないのに愚痴ばっかり言っているのがむかつく」ということにもなるのかもしれません。
同僚関係で嫌な思いをした風俗嬢は、お店を変えたというケースも多く、その他には気にしないようにする、同僚と関係を持たないようにするなどの対処を取っているようです。
その他
その他の嫌な経験としては、お店で盗難にあったというものや、隠し撮りをされたというものがあります。
隠し撮りをされたというケースとしては、あるときインターネットの動画共有サイトで、自分とお客さんとのプレイシーンが公開されていたことから、お店が隠し撮りをしていたと気付いた、というものがありました。
分かった時にはもうそのお店はなくなっていたため、後の祭りになってしまったとのことでした。
隠し撮りをするお店はかなり悪質であり、多くのお店はそのようなことはしていないでしょう。
しかし、お客さんが隠し撮りをすることもあるため、それを避けるためにも、お客さんの荷物はプレイが見えない場所に置いてもらう、荷物を全部タオルで覆うなどしてからプレイを行う風俗嬢もいます。
また、ごく少数ではありますが、お店の女の子を他店へ引き抜きをしようとしたという濡れ衣を着せられて嫌がらせを受けたり、お店から監禁されたという話を聞いたことがあります。
皆さんがそのような事態に遭遇する可能性は極めて低いのですが、風俗嬢として働くうちにこのような被害に巻き込まれたケースもあるのです。
いくら可能性が低いとはいえ、そのようなことが起こり得る現場でもあるということを知っておいても、損ではないでしょう。