風俗嬢として働く女性が気になる問題の一つに、税金の問題があります。
風俗嬢も税金を支払っているのでしょうか?
実は、風俗嬢たちは税金を支払っていません。
となると脱税ということになり、国税局にばれてしまえば良くて追徴課税、悪質であると判断されれば刑事罰を受ける可能性があると考えられますが、風俗嬢に関しては問題ありません。
なぜ風俗嬢は税金を支払わずとも見逃されているのでしょうか。
本稿では、風俗嬢と税金の関係を解説していきます。
日本の税制にはグレーゾーンがある
風俗嬢と税金の関係について、元国税局調査員である税理士が実際に語った資料があり、これが風俗嬢と税金の関係を知る良い資料になります。
その税理士に話によると、ほとんどの風俗嬢は税金を支払っていません。
彼も日本最大のソープ街である浅草に配属されたことがあるのですが、税金の取り立ては一度も行なったことがないと言います。
日本の税金の仕組みは、戦後間もないころに作られたものが今も踏襲されています。
幾らかの改正はあったものの、骨格は何も変わっていないのです。
変わったことと言えば、皆さんもよく知っている消費税ができたくらいのもので、所得税や法人税の構造も昔のままです。
国税局が行う税務調査は、単純に言えば「取るか、取られるか」というものです。
そこには何ら公平な原則や規範は存在しないため、税務署や国税局や調査官個人の裁量で税務調査が行われています。
そのため、当然ながらグレーゾーンも生まれてきます。
風俗嬢の税金ってどうなってるの?そう思った皆さんは、税金というものは「いくらの収入について何パーセント」という厳密な決まりがあるように思っていることでしょうが、実際にはそうではないということです。
もちろん、一般の人達はそのような厳密さがあると思っており、だからこそ税金逃れがそれほど発生していません。
しかし、税金には実際にグレーゾーンがあり、経営者にしても税理士を使うかどうかによって納税額が大きく変わってくるというのもここに理由があります。
風俗の世界は、儲かる人が大きく儲かる世界です。
大人気風俗店の経営者は、たくさんのお客さんがたくさんのお金を使うため、たくさん儲けることができます。
しかし、儲からない経営者も非常に多く、そのような経営者は繁盛させる方法も知りません。
儲かる経営者には儲かる理由がいくつかあります。
例えば世の中の仕組みを色々理解しているとか、男女の機微が分かって風俗嬢もお客さんも満足させられるとか、そして税金の仕組みをうまく利用しているかとか言ったことです。
税務署はそこを見ています。
つまり、儲けていて売上がどんどん伸びているような経営者には、税金の申告漏れや脱税の可能性が出てくるため、注意深く見ているのです。
そして、儲けていない風俗店の経営者は眼中にありません。
このことから分かるように、実際の税務調査は裁量に任される部分が大きいものです。
しかしながら、どのような経営者が突っ込まれ、どのような経営者が無視されるかという明確な基準はなく、グレーゾーンがあり、幅があるだけに色々な情報が錯そうしています。
風俗嬢が課税されたことは一度もない
では、風俗嬢について調査員はどう見ているのでしょうか。
これは、冒頭で述べた通りほぼ眼中にないとされており、収入を追求されることもありません。
なぜならば、風俗嬢の収入を追求しようとする調査員がいないからです。
例えば、高級ソープの風俗嬢は明らかに儲かっています。
例えば、高度経済成長期などはソープランドにお客さんが列をなし、どう見ても儲かっていないわけがないのですが、その当時でさえ国税局は風俗嬢から取り立てを行うことはありませんでした。
このことからも分かるように、「国税局は風俗嬢から税金を取る気がない」のです。
高度経済成長期から30年以上経った今でも、国税局は相変わらず風俗嬢から税金を取る気がありません。
これは、儲けている風俗嬢も設けていない風俗嬢も同じことです。
お店によって、売上は5:5や6:4などといった配分で風俗嬢に確実に入っているのですが、それでも税金は取られませんし、今まで取ったという話は一つもありません。
これは、国税局の根本的なシステムに問題があるからです。
税務調査の仕組みはそれぞれの税金のタイプによって異なりますが、それでもすべてに共通するのは、調査員たちは上司の指示によって動いているということです。
つまり、国税庁が年間の方針を決め、そこから国税局に指示が行き、次第に末端の調査員へと指示がいきわたります。
その方針というのも、今年は富裕層を徹底的に調査する、海外に流れている資産を調査するといったように、狙い撃ちの方針です。
そのため、組織図の下部に位置する部署や調査員個人たちが「風俗嬢を調査したい」と言ったところで、そのような調査は許されません。
これまでも、調査の方針として風俗嬢が挙げられたことは一度もありません。
国税局と警察の関係
その理由としてまず考えられるのは、男性心理をベースにしているということです。
世間の男性はやはり風俗嬢にお世話になっている部分があり、風俗は男性の味方という感覚がどこかにあるからこそ、彼女たちを暗に課税対象から外すという流れができているのです。
やはり、世間の男性が風俗のお世話になっており、男性心理としてはその必要性を認めています。
風俗が無くなり、性欲を満たす場所がなくなれば、性犯罪の増加にもつながってしまいます。
風俗嬢は犯罪の予防策になっており、彼女たちには社会的意義がある、という認識があります。
そのような下地がある上で、もっと重要な理由もあります。
それは、もし税金の取り立てを厳格にするために、世の中のあらゆる部分で白黒はっきりつけようとすれば、税の仕組み以前に商売の仕組みに踏み込まなければならなくなります。
風俗嬢が風俗店で行なっているサービスというのは、見方は色々あれども結局のところは売春です。
これまでは売春婦と風俗嬢の区分を曖昧にしながらなんとなくやってきましたが、税金の問題をはっきりさせるためにはそこに踏み込む必要があります。
お店がお金を管理している以上はどうしても売春となってしまい、売春は犯罪であるため、そこに踏み込むと犯罪を暴くことになります。
お店としても、そこに突っ込まれてしまうとどんな言い訳をしようとも売春を認めざるを得ません。
特に、ソープランドが本番行為をしているのは公然の事実であり、法律を厳格に適用すれば売春防止法違反となります。
となると、本当に動くべきは警察です。
つまり、風俗嬢は、国税局と警察が半々で受け持っているようなもので、お金の問題は国税局、働き方の問題は警察の範疇となり、国税局がいくら税金の問題を解消したいからと言って、そこに踏み込めば警察の領域を侵すことになってしまいます。
そして、警察と国税局は昔から仲が悪いという内情もあります。
国税局は毎年白書を発表し、告発率を高めることを一番大きな目標にしていますが、そのためには風俗嬢からの税金取立のために警察と協力して法律違反も正すというような必要はどこにもなく、そのようなことをするくらいならば一般の経営者などを調査・告発し、告発率を高めておいた方が良いのです。
また、国税庁の成績が世間に対するアピールになるのと同時に、調査官個人としても税務調査の成績が今後の昇進に反映されます。
国税局は同期が1000人もいるような巨大組織で出世競争も厳しいため、取り立てることに色々な問題がある風俗嬢から取り立てようとするよりも、取りやすいところから取ろうとするのは当然のことです。
風俗嬢も納税者?
そもそも、国税局は個人を狙い撃ちすることはありません。
また、それ以前に風俗嬢は「予定された納税者」という位置づけをされていません。
もちろん風俗嬢も国民であり納税者であるため、所得があれば申告する義務があります。
しかし、国税局や税務署は最初から風俗嬢を相手にはしていない、つまり「予定された納税者」とみなしていないのです。
役所が風俗嬢から取ろうと考えていないのですから、風俗嬢が税金を支払わなくとも何の問題にもなりません。
このようなことは、国の機関として正しくないことはもちろんのことです。
しかし、全国の風俗嬢から取り立てようと思えば、国税庁が「風俗嬢を調査する」という年間の方針を打ち出す必要があり、そうなれば警察との関係もあって動けなくなります。
動けなければ成績も上がらず、世間からの印象も悪くなります。
そのため、国税局が「風俗嬢を一網打尽にする」などという動きをすることは、まず考えられません。
お店にガサが入っても大丈夫
では、たくさん稼いでいる風俗嬢がマンションを買いたいと思ったり、住宅ローンを組みたいなどという理由から申告をしたい場合には、どうなるのでしょうか。
その場合、もし確定申告をしている風俗嬢ならば、税金をいくら収めたかが問題になってきます。
例えば10万円を納めているならば、基礎控除や扶養控除などがあるため、それを足して10万円になるように申告する、ということになります。
そのため、風俗嬢が実際に稼いでいる金額とは大きく異なりますが、実際にはそのような風俗嬢は大勢います。
やはり納税は国民の義務でもあり、無申告であるとは言いたくないため、このような形で申告している風俗嬢も少なくありません。
ですから、本稿を読んでいる皆さんも、もし確定申告をしようとするならば、実際の累進課税をあまり考えずにごく少額を納めるという方法が可能です。
実際には、風俗店が調査を受けるケースはたくさんあります。
ある風俗街の複数店舗を選んでガサ入れをするのですが、そうするとお店における風俗嬢への支払いを記帳した帳簿も押収されます。
しかし、これが風俗嬢個人に帰着することはありません。
ですから、結局のところ申告は風俗嬢の言い値となっています。
例えば年間1000万円稼いでいる風俗嬢が、10万円しか稼いでいないと申告することもあります。
お店から帳簿を押収すれば、税務署では1000万円稼いでいることを容易に把握できます。
しかし、それでも上記の通りの様々な理由から、風俗嬢が追求されることはありません。